先月の28日は猫のくまたろうの一周忌だった。
今年は瀬戸内芸術祭で宿も忙しく稼働しているし、
息吹が生まれてこのかたワンオペ家事育児だし、
庭の草木は容赦なく伸び放題で、
夏前後に剪定した刈草があちこち山になっていた。
くまたろうのお墓の上にも枯枝がこんもり。
くまーごめんねーと思いながらも、
日々限界ギリギリまで力を使って生きてるから、
なかなかどうして手が回らないでいた。
命日の前日。
「あー明日くまの命日なのにきれいにしてあげれなかったー」
と私が言ったら、
「よーし、いぶきがやってあげる!まかせといて!」
と息吹が言って、
しばらく家に入ったかと思うと完全装備で庭に出てきた。
ジーパンに長靴をはいて、
髪の毛はなぜかアラレちゃんのようにふたつ結びでキャップをかぶり、
ボーダーの長袖の上にさらにボーダーの半袖を重ね、
首から口元には水着のラッシュガードをぐるぐる巻きにしている。
そのいでたちに笑いながら、
「いぶちゃん、ほんとにひとりでだいじょうぶー?」と聞くと
「だいじょうぶ!だいじょうぶ!」とやる気満々。
息吹はいつだってやる気に満ち溢れているのだ。
そして、その小さな体と小さな手で少しずつ枝を運び始めた。
蚊をけ散らしたり、クモに驚いたりしながら、
何回もせっせと。
途中、お客さんを甲生に案内しがてら、
海岸でお墓に並べる石を一緒に拾ってきた。
やがて近所のみなぐもやってきて、
ふたりで葉っぱをバケツに入れて運んだり、
花もいろいろと摘んできてくれて、
石もきれいに並べてかわいいお墓を作ってくれた。
すごーい!
ほんとにお墓がきれいになっちゃった!
うれしいー
ありがとうーー
そういえば去年くまたろうが亡くなったときも、
そろそろ庭に埋めてあげなきゃなというタイミングで、
いつもはめったに遊びにこないカイ君が急に遊びに来たいと言ってやってきて、
庭の固い土をシャベルで一生懸命掘ってくれたのだった。
あのときも救世主があらわれたと思ったのだけど。
今年もスーパーヒーローあらわるだ。
息吹はいつもスーパーヒーローではあるけど、
こうして宇宙はいつだって必要なものを送ってくれるのだ。
世界の仕組みはほんとうによくできている。
スーパーヒーローはいつだってあらわれる。
あなたが呼べば。
いつだって。



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