夢から醒める

私たちは夢を生きている。


みんな自分の夢を生きている。


たいていは、夢を生きていることには気づかない。
夢を真実（リアル）だと思って生きている。

それはある意味でとても理にかなっている。
なぜならここはそのための場だからだ。

これが夢だと気づいていないからこそ、
その夢に没頭することができる。
入りこめるというわけ。

だけどいずれかならず、
その時がやってくる。


夢から醒めるときが。


ずっと悪夢のような人生だったので、
その夢を少しでも楽しくて幸せなものにしたいと思って生きてきた。

夢をよくしよう、
夢をよくしたい、

それが私の生きる原動力であり、
そこには狂おしいほどの一生懸命さがあり、
ここまでの人生での醍醐味でもあったように思う。

けれど、
今はその軌道から飛び出していこうとしている。

その時が近づいてきているのかもしれない。


夢から醒めるほうへ。


夢を見ることを望んだのはわたし。
それがどんなに悪夢だったとしても、
それを見ることを望んだのはわたしだ。
それはほんとのこと。

そして、楽しくてしあわせな夢も、
悪夢のようにひどい夢も、
夢はすべてがうつくしい。


どんな夢も途方もないほど美しいのだ。


それに心底気がつくということが、
夢から醒めるということかもしれない。